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ツクヨミしろくま堂書店blog

こんにちは、ツクヨミしろくま堂書店です。お気に入りの本の紹介を中心にブログを書いています。時々、本とは関係ないことも書いています。

蜜蜂と遠雷

 

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蜜蜂と遠雷恩田陸 著 幻冬舎

 

音楽……。それはとても身近なもの、誰にでも等しく与えられている楽しみ。
 
自然に溢れる音たち、それは真空である宇宙には存在しないけれど、その宇宙にある普遍の法則に従って奏でられる、言葉では説明のできないもの。
 
言葉では説明できないはずの音楽……。だけどこの本は読んでいると、まるで頭の中でピアノが鳴り響いているみたいです。
 
「芳ヶ江国際ピアノコンクール」を舞台に繰り広げられる音楽の神様に愛された4人のコンテスタントたちの、それぞれのピアノを弾く理由、葛藤、必然……。
 
ひとりの無垢な天才少年が、コンテスタントたちの心に風を起こし、それぞれの演奏が響き合い、聴衆の心に、読者の心に「音楽の素晴らしさ」を感じさせてくれます。
 
そして、この本の大きな特徴としての臨場感ー
 
まるで、観客のひとりとして、コンサートホールにいるような、コンテスタントとして大勢の観客を前にして演奏しているような感覚。それは自然のおおらかさと荒々しさだったり、時には異国の地に踏み込んだような経験だったりします。
 
とても長く、本の厚みもあります。でも、読んでいると心地よい音楽にいつまでも身を委ねていたいような気持ちになります。
 
だんだんと最後の頁に近づいていく栞が、とても愛おしく感じる、そんな本です。
 
そして、心地よい裏切りを感じたコンクールの結果。
 
 「世界はこんなにも音楽にみちているー」その言葉が、いつしか、誰の胸にも染み込んでゆくのです。
 
納得の直木賞受賞作品。
 

 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 

とりつくしま

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『とりつくしま』 東直子 著 筑摩書房

 

 

大切な人をなくしてしまった悲しみ……。しかし、死んでしまった「大切な人」にも悲しみはあるのです。
 
死は、まえぶれもなく、突然やってくる人だって、いるわけです。そんな人たちはこの世に残してきた「大切な人」にたくさんの未練があるわけです。
 
あの世とこの世の狭間にあるところに、「とりつくしま係」がいます。
 
この係は、この世にたくさんの未練を残してきた人たちの魂に、チャンスを与えます。それは、モノになって大切な人のそばで過ごす第二の人生。
 
ある人の魂は大切な妻の日記に、ある人の魂は公園のジャングルジムに、またある人は白檀の香りの扇子に……。
 
そして、それぞれのモノの目線から、死んだ魂は「大切な人」の生活を見るのです。
 
そこには、嬉しい現実や、見たくない現実もあります。
 
モノである彼らには、声をかけることさえできません。ただ見守るだけなのです。
 
11の短編からなるお伽話の群れ。
 
ある人はジーンとしたり、ある人は自分と重ねたり、またある人は「自分がモノになるとしたら」なんて想ったりするのです。
 
自分の周りにあるたくさんのモノたち……。ひとつひとつに、もうこの世にはいない、大切な人の魂が宿っているとしたら。
 
なんとか、「お願い、もう一度だけお話しをさせてください」って思います。
 
この本を読んだ後に、「あの人、お空でどうしているのかなぁ」と思い、今会える大切な人が、なんだか頭の片隅を慌ただしく動き始める。そんな感覚を覚えます。
 
 

とりつくしま (ちくま文庫)

怪物はささやく

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『怪物はささやく』パトリック・ネス 著 シヴォーン・ダウト 原案

池田真紀子 訳 あすなろ書房

 

13才の少年、コナー・オマリーは思い病気のお母さんと二人暮らし。学校ではお母さんのことでみんなから特別扱いされて、自然と自分の周りに壁を作ってしまい、孤独感を深めています。悪夢にまでうなされ続けるコナーは、ある夜怪物と出会います。時刻は0時7分ー。

 

怪物はコナーに3つの話を聞かせます。どれも悲しい結末の物語にコナーは納得がいきません。そして、怪物のする3つの話を聞いた後は、次はコナーが4つ目の話を怪物にしなければなりません。

 

実はそれが、コナーが怪物と出会った理由なのです。

 

この物語は不安や恐怖、怒りや破壊で満ちているのに、ラストは癒しに溢れていて、悲しいのにとても美しいのです。

 

大事な人や、想いを寄せるものを失うこと……。

 

その喪失感による心の傷はその人でしか味わえないし、わからないことが多いです。絶対に他人に100%理解してもらうことは不可能でしょう。時にはそこから抜け出られなくなって、何年も何十年も時間が過ぎることがあります。

 

心配してくれている人たちに気遣って、なんとか明るく振舞ったり、そのことを忘れたかのように生きることもできます。しかし、人のことがなんとなく信じられなかったり、心に思ったことが素直に口にできなかったりするのは、そんな喪失感による心の傷が癒えていないからではないでしょうか。コナー少年に気持ちを近づけると、そんな気がします。

 

この物語は、誰もが持っているそんな心の傷に触れて、暴れさせます。

 

人から暖かかくしてもらったり、励ましてもらったりすることで元気になったり、また歩き出すことはできます。でも本当にその傷を癒せるのは、その当人でしかないのです。その傷に、その人自身が向き合い、見つめることがその第一歩であることを感じさせられました。

 

それは、簡単ではなく、勇気が要ることです。

 

そして、そんなひとつひとつの歩みを、ただ一緒に寄りそって歩む。そんなイチイの木の怪物のような人になりたいー。そう、思いました。

怪物はささやく

ブログはじめました

はじめまして。 ツクヨミしろくま堂書店 店主の野坂匡樹です。

 

本に関わる仕事をしております。仕事の内容に関しましては、また、おいおい紹介させていただきます。

 

このブログでは、お気に入りの本の紹介を中心に、様々な身の回りの出来事を書いていきたいなぁ、と思います。

 

どうぞ、よろしくお願いいたします。